主体的な生き方

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「いえいえ、気になさらないでください。私自身どこも調子が悪い気はしませんし、ここの仕事や職場は好きなので。」 「そういってもらえるとありがたいよ。とりあえず今日から相談士と医療AIが出した施術プランと兼ね合わせて仕事が割り振られるからよろしくな。」 私の職場の人たちはみないい人である。中でもこの部長さんは今時珍しく仕事も責任をもってやり、AIに仕事を任せっきりにするだけでなく部下の面倒もよくみてくれる非常に人情に厚い人である。ゆえに仕事の延長を持ち出された時も嫌な気持ちはなかったし、むしろ誇らしい気持ちだった。新人時代からお世話になった人の一人である。 施術プランによれば年間100時間余計に働いたので最低100時間は平素の仕事を少なくするとのことである。その分余計にお給金はもらっていたので変な感じはするが、とりあえず納得もできたので、これよりしばらくは皆より早く仕事を終えることとなった。 そしてその早く終わった分を相談士のもとに通うなど施術に充てることなる。 今日の部長との会話を史子に話したところ、片手を額に当て空を見つめだした 「ホーリーシット!なんてことだ。今の話を総合するとその部長とやらは自ら知識不足を差し置いてAIのせいにし、あまつさえ樫さんのやさしさにつけこみ今回に対する謝罪をなかったことにしています。これは非常に危険ですよ!」 彼の発言に、どう曲解いたらそうなるのかと唖然としていた。 「どう曲解したらそうなるんですか」 漏れで出た。 「私自身、部長からねぎらいの言葉を聞いて悪い気はしてませんし、本当に嫌なら残業とやらも断っています。」
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