主体的な生き方

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そう答えると史子は少し涙ぐみながら答えた。 「私もワーカホリック患者を調べたのですが、今の樫さんと全く同じことを話した方がいたという文献を見ました。なんでも今よりもっと残業文化のあった近代では自分を偽るためにそう言った発言が多かったとか…まさか、いや、待てよ、そうゆうことか。」 史子が何やらうっとうしいリアクションをとりながら勝手に納得していた。 「何ですか、思うことがあるなら行ってください。 史子さん、なんかあんたとんでもないこと考えてそうで怖いんですよ。」 「いえいえ大丈夫です。しばらくは今のまま仕事をしてください。」 何やら怪しそうな含みを持たせながらしばらくは時間を短縮した仕事が続いた、そして100時間分の短縮を終えたときことの事態に気付いた。 仕事の短縮が終わらないのだ。 どうゆう意図があるのか聞くために私はまた史子のところ詰問をしに行った。 「あのー、この前話した100時間分の短縮は終わったのにまだ仕事時間の短縮が続いてるのですがどういったことでしょうが」 史子は答えた。 「…よく聞いてくれました。施術は、第2ステージへ…進みます。今までの分はいわば身体的な回復を主にしていました。そしてこれからは精神の回復です。実際に残業をさせられた樫さんの精神的苦痛分を仕事時間の削減により還元していきたいと思います。」 それってどれくらいの時間なんだと疑問に思うと同時に 「それはどれくらいの時間になるんですか」 言ってた。 「時間については私とAIが相談して決めましょう。ワーカホリックの方は異常な量の仕事をしていても苦痛に感じないそうですからね。また仕事の分配等の情報をそちらの勤務先にお渡しします。」 むしろ以上に働けないし、そのことで早く上がるのが若干心苦しくなっているのだが、精神的回復なら元々ないのだからすぐに終わるだろうと私は病院を後にした。 そう思って3か月の時が過ぎた、仕事の短縮はとどまるところを知らず、ついには元々の半分の勤務時間で仕事を終えるようになっていた。
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