主体的な生き方

8/9

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
いったいいつになったら治療は終わるのですかと史子を問い詰めたところ、彼は腹立つオーバーアクションをしながら答えた。 「ワッツア…「もういい、腹立つ!さっさと答えろ!」」 いや、答える前に私が吠えた! 「はい…いやですね、率直に言うと、そんなに働きたいんですか、やっぱりワーカホリックはまだ治ってないですねと思いました、ハイ。」 「それだよ!困ってるのはさすがに皆が自分の倍働いてる中、特に体調も悪いと感じないのに毎日、半日で帰るのが正直つらいんですよ。周りの人も樫さんはすぐに帰るから仕事渡せないなって感じになって碌なもん廻ってこないし。」 この話を聞いた途端、さっき恐縮していた史子の態度が途端におっきくなった 「仕事をまわさない・・・居づらい雰囲気になる・・・ほうほう。やはり私の思った通りです、今回の件は樫さんだけにとどまりません。非常に組織的な問題です」 なんか嫌な予感がした。 「あなたのいるところはブラック企業という組織です。本来でしたら精神的回復を図る樫さんに居づらい、申し訳ないよう感情を持たしてはいけません。それでは治療になりませんので。それを従業員をあまつさえ残業させ!その治療も満足に行わせない! これは近代古典に記載されていたブラック企業と呼ばれるものです。」 「あんた怖いよ、何言ってんだ!」 思うと同時に言葉が出た。 「史子さん、この際はっきり言わせてもらうが僕は特に去年の残業について全く気にしてないんです。今の居づらいのも治療だか何だか知らないがあんたのプランに従ったらおかしくなったんだ…頼むよ、もう治ったって言ってよ…もう前の生活に戻してよ。 別にこんな苦労しなくっても普通に働ければいいからさ…おれ今のところ結構好きなんだから」 史子がガックっと膝をついた私の肩に手を当て言った。 「大丈夫です。私がAIに従いすべて解決します。」 私はバタッと倒れた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加