主体的な生き方

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翌日会社に行くと部長以上の役職が総辞職をし、私の務め先はどこかの企業に吸収された。なんでも産業AIのアップデート時にシステムエラーがあり、仕事の配分を間違えていたところがあるらしい。世にも珍しいワーカホリック患者を出したとしてメディアで取り上げられ会社の生存戦略は立たれたこととなった。 吸収合併した企業からは同じ環境、スキルを活かした仕事を斡旋された。同僚たちもそこにいると。 さすがに断った。今回の件が私が無関係とはとても思えなし、そんな雰囲気の中働きたいとも思えなかったからだ。元同僚、ひいては部長さんが お前のせいでない、気にするな。また酒でも飲もう と言ってくれたのは幾分か気が楽になった。 私も一つ今回の病気にあたって近代古典より調べていたことがあった。その中より昔の人は何かに反抗するとき盗んだバイクで走りだし、金属バットでものを壊すらしいということが尾崎という人物の詩の中にあるらしい。まずはAI社会の反抗の意味を込めて彼の病院に金属バット片手に行こうかと思う。そのあとはこの特区を抜け、またその大陸の向こうにAIとは無縁の生活のある楽園があると聞く、どうせ独り身なのだ今度はそういったところで再スタートも悪くない。 私、史子 諦徒は相談士として大成していると思っている。国民から羨望を集める上級医療AI相談士資格を若くして持ち、AIの話すままに仕事をこなしてきた。そんなエリートといわれる私がまさか。。。医療プランの残業時間の入力を一桁間違えるとはね…やってしまったよ。AIは正しい答え出してたんだよ。ケアレスミスだね。そりゃ1000時間残業してたことになってたらいつまでたっても治療終わらないよ。とりあえず、特区を抜けた大陸にでもしばらく身を隠して、数年したら戻ってこいって医療相談会の上の人たちも言ってたし、しばらくバカンス楽しみますかね! ここはAIからの支配からの脱却をスローガンに人間が人間らしくいるための人々によって作られた通称解放区。ここではかつての人間らしい生活を取り戻すために近代国家をベースに生活圏が組まれている。そんな中陽気な顔をした考えることを忘れたような間抜けな顔をした男と金属バット持ちニコニコふらふらしているやばそうな男が再開するのはそんなにかからなかった。                                   完
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