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そうですか…。すこし気分が落ち込み、疲れがあると…。」
厚生労働省から私の勤務先の職場へ赤紙が来たことにより、やむを得ず政府指定先の病院へことになった。私は少し大げさに調子の悪い所を伝えた。
「はい、強いて言えばという程度ですが…。ただ正直なところ赤紙が送られてくるほどとはとても思えなくてですね…。特に持病があるわけでもありませんし、可能な限り早く診察が終わるといいのですが…」
今、私と向かい合わせで座っている担当士の男、名前を
史子 諦徒(しこ ていと)というらしいが、の手にあるものを私たちは赤紙と呼ばれるものは一生の間でもなかなかお目にかかれるものではない。
AIが政府機関の指導、顧問を行うようになった新代(AI発展以前は近代と呼ばれていたらしい)になり、健康を著しく害する恐れのある環境にあると判断された人間は政府機関から直ちに専門機関より診察を受けるようにと、例の赤紙が送付され指導が入るのである。
「まあまあ落ついてください。赤紙で診察に来る人なんて本当に久々なのでこちらも万全の検査をさせてください。大丈夫ですよ。この病院は首都圏ほどではないですがここら辺の地方では一番いい設備がそろっていますし、私自身、上級医療AI相談士の資格を持っています。必ずや、原因を突き止め充実した生活をおくれるようになるはずです。」
そもそも、今に満足しているのですが…という言葉が出かけたが話がめんどくさくなって診察が伸びても嫌だったので。はあ…そうですが、と頷いておくことにした。
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