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午後、銀行に行って最後の失業給付金を下ろした。
これが最後の生活資金。
帰り道。中古本屋とグッズショップに、持ってきた袋の中身を全て売っ払ってきた。
買取価格は2千円ちょっと。手に入れるのにかかった価格の実に1/10以下。
まぁ俺の人生なんてそんなもんだ。大体失うものの方が多い。
家に帰ると、ポストに宅急便の不在票が入っているのを見つけた。
電話をかけ、やってきた宅配業者が持ってきたものは。
「何だこれ!?」
思わず変な声を上げそうになり、ジジイの報復行動が怖くて口を噤んだ。
届いたダンボール箱を開けて出てきたのは、最近欲しいと思っていたものだった。
ネット通販最大手の段ボール箱。つまり密林サイトで購入されたものということになる。
新手の送りつけ詐欺かと思い、慌てて品物の上の伝票を取り出す。
「ほしい物リストから贈られたプレゼントです」
(メッセージ欄:「捨てるな。まだ死ぬな」)
……何だこれ。ほしい物リスト? 死ぬな?
送られてきたものは全て、最近ほしいと思って公開のリストに入れていた物ばかりだった。
「何なんだよ……誰なんだよ」
ショップで売ってきたものは19個。送られてきたものは30個もあった。
「増えてんじゃねぇかァ!」
隣の壁から、またもドンッという脅しの音が響いた。
100−1(会社)−19(売ったもの)+30(謎の送りつけ)
断捨離残数110
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