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勢いよく頬を引っ叩かれ、ボクは少しよろめいた。
だけどボクは両拳を握るだけで、痛む頬を抑えることもせず、ただ冷たい大理石の床を眺めるだけ。
「何度同じ失敗を繰り返す気なの?まったく、失敗するだけでも恥ずかしいのに、貴方が私たちの子どもだなんて信じられないわ」
「……」
「これ以上、我が家に泥を塗るようなら、家から出ていってちょうだい。貴方と関わるだけ無駄だもの」
母は持っていた紙を放り捨てて去っていく。
母の足音が遠ざかり、ほとんど聞こえなくなってからボクは床に散らばる紙を拾った。
それは90点代が並ぶボクの答案用紙で、満点の100点は一つもない。
呼び出された教室を出て自分の教室に戻ろうとした時、バチンと窓の外から乾いた音がした。
「お前は何度言ったらわかんだよ!妾の子の分際で、しかも女のくせに俺より良い点数取ってんじゃねぇよ!」
一階の窓から外を見れば男子が女子の頭を束ねた紙でバサバサ叩いている。
彼女はボクの前の席に座るリエナ・フラメルだ。一応、フラメル家の令嬢としてこの学園に在籍しているが、フラメル当主の愛人の子だという。
そして彼がフラメル家の長男ドラゴ・フラメル。ボクらと同じ学年で隣のクラスに在籍している、フラメル家次期当主の筆頭候補。
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