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彼女もまたボクと同じように何の抵抗もせずされるがままだが、地面に向けられたその視線はボクとは違う気がした。
ふと、リエナが視線をあげて、ボクと目が合う。
彼女の視線にドラゴも気づいてボクを見た。
「何だよ!?何見てんだよ!?」
「いや、ボクは何も……」
ドラゴがボクに迫ってくるが、リエナが冷静に口を挟む。
「ドラゴ様。彼は私と同じクラスのバルト・トレーシア、この学園の理事長子息ですよ」
その言葉にドラゴは「そんな事わかってるよ!」と怒鳴り、あからさまに態度を変えた。
「ご機嫌よう。お恥ずかしい所をお見せしてしまい申し訳ない。妾の子のため愚妹なもので、ご迷惑をお掛けしてませんか?家が大きいと面倒事も多いですが、お互い頑張っていきましょう」
ニコニコとした作り笑いに社交辞令を並べ立てて握手を求めてくる。
ボクは事を荒げないために窓越しで握手に応じた。
手を離すとドラゴはリエナを睨みつけ、手に持っていた紙類をその場に投げ捨てて去っていく。
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