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想定通りに事が運んだのがよほど嬉しいようで、彼女は更にクスクス笑う。
「彼、とってもバカでね、困っているの。テストで平均点にも満たないのに、私に彼よりバカになれって無理難題を言ってくるの。まぁ、バカだからそれが難しい事だって事も理解できていないのね」
ボクは呆気にとられて何も言えない。
彼女が喋っている姿をボクはほとんど見た事がなかった。授業中に先生に当てられて答えているぐらいで、私語を話す姿など初めてかもしれない。
しかも、ペラペラと普通の女子生徒のように、悪意ある言葉を悪意なく語る。
「あ、そうだ。せっかくだし、貴方の意見も聞かせてくれないかしら。どうすれば、あのバカに時間を割かなくて済むか」
いきなり応えを求められてボクは口ごもり、応えではなく逆に質問してしまった。
「な、何で、ボクにそんな事聞くの?」
「……そうね、何故かしら?」
彼女は腕を組んで少し考えこんでから答える。
「貴方が私に一番近いバカだからかしらね」
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