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ここまで清々しく言われると怒る気も起きない。
「成績も、歳も近いし……。この問題はおいおい考えておくわ。それで、貴方はどうしたら良いと思う?」
おいおい考えとくの意味も全くわからないが、彼女の問いに何かしら答えないと帰れなさそうなので、ボクは考えた。
「……わざと問題を間違えたり、空欄にすれば良いんじゃない?」
「却下」
「却下?」
リエナの即答にボクはおうむ返しする。
「却下に決まってるじゃない。大人が子どもを罠に掛けようと問題を作ってるのよ。それを思い通りに間違えて大人を喜ばせるなんて、誰がするものですか」
「そもそも、それをするつもりなら早々にやってるわ」とため息混じりに言葉を吐き出す。
彼女の目に映る世界は悪意で溢れているようだ。
ボクがどうしたら良いかわからず頭を掻いていると、リエナは閃いたらしく、パッと明るい笑顔をボクに向けた。
「そうだわ!貴方、私の筆跡を覚えなさい!」
「えっ……何で?」
「答案を入れ替えるのよ!私は貴方の筆跡なんて既に書けるし、私たち座席が前後だから入れ替えるのも楽勝よ。ドラゴよりは成績が悪くならないだろうけど、いつも満点の私が間違えれば、あのバカも満足するだろうし、貴方も満点の答案で怒られなく、」
「ふざっけるな!!」
ボクは思わず怒鳴っていた。
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