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ボランティア部に入ってみて、案外この部活は居心地がいいことに気づいた。
活動内容は雑用程度の仕事がほとんど。土日に活動があることもない。
真木はたしかに変だけど、喋っていく内に段々と慣れてきて、むしろ最近では真木のことを面白く感じてくる。
御守りの中に金平糖が入っていたり、未だにガラケーだったり、ジャンクフードを一度も食べたことがなかったり。「あのハンバーガーの美味しさを知らないなんて損してる」と真木に言うと、「じゃあいつか連れて行ってよ。楽しみにしてる」なんてむず痒い会話をするぐらい真木とは仲良くなった。変わっているけどもう変だとは思えない。
そんなある日のこと。
「真木なに書いてんの?」
放課後の部室、今日は真木と私の2人だけ。
「進路調査票。山野さんはもう出した?」
「あー、なんか適当に埋めた。なに、悩んでるの?」
「まぁね」
真木は相変わらずボソボソ喋る。不健康な青白い肌に生気がない目。
「将来なりたいものとかあんの?」
「ネコ」
「え?」
全く想定してなかった答えに私は面食らう。聞き間違いじゃないよね?
「童話のネコ」
「ん?」
「もっと正確に言うと、100万回目を生きたネコ」
私はふーん、と適当な相槌を打って別の話題を振った。
……やっぱり真木は変わってるしよくわかんないな。
まあこういうところも含めて真木なんだけどね。
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