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Bar MATSUHO
バー・マツホは不思議な雰囲気だった。
一本木の立派なカウンターがある、モダンな作りをしていた。
白いイームズチェアに合わせて内装をしたのだ、とアキラママは言った。
そんな店内なのに、アキラママはごつい身体を粋な縞の女物の着物で包んでいる。
カウンターの後ろにはたくさんのアルコールが並んでいてカクテルも楽しめるが、カウンターにはいつも大鉢が5〜6個並び、ママ手作りの惣菜が入っていた。
きんぴら、おひたし、胡麻和え、煮物…
言えば菜箸で器に盛られ、食べることができた。
メニューにはなかったが、これにむすびと汁物も頼める。
常連たちは「本日の惣菜」のメニューを聞き、いくつか注文してからアルコールを決め、最後にむすびと汁物で締めることが多かった。
以前、揚げ物がほしいと若いサラリーマンが言ったことがあったが、「ごめんなさい。着物に油が跳ねたら大変だし、割烹着はあまり好きじゃないから、うちでは揚げ物をしないことにしているの」とアキラママは答えた。
作り置きを出すことにしているのもあり、「やっぱり揚げたてが美味しいじゃない」とほんわり言われると、客も納得したのか、ほうれん草の白和えをよく味わって食べていた。
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