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高城①
小学校には必ず、七不思議がある。いわゆる、トイレの花子さんとか、夜中に段数が増える階段とか、勝手に動くピアノとか、旧校舎の霊とか、動く二宮金次郎とか。学校ごとに様々なものがある。
昨日、友人と話をしていると、『二階にある男子トイレの奥から二番目の個室を、夜中の二時に百回ノックするの。それで、百秒待って、ドアを開けると、近くの窓から、落とされるんだって』という、 聞いたことがない怪談を聞いた。にわかには信じがたい。それでも、やってみようか。
ほとんどの怪談は、実際に試してみて、嘘だとわかった。しかし、『怪談男子トイレ』(今名付けた)は初耳だ。なので、試してみようと思う。
夜の二時になった。転校してから数ヶ月しかたってないが、校内への侵入ルートは見つけた。一時間前に学校までたどり着いたので、学校全体をくまなく歩き回った。まだ私が行ったことのない場所がたくさんあり、楽しかった。
やっぱり、音楽室のピアノは動いてなかったな、とか。松永先生の机の引き出しにぬいぐるみがあったなぁ、とか。わかってたけど、男子の体操着は臭いなぁ、とか。学校探検のことを振り返っていると、あっという間に百回ノックし終わった。あとは百秒、のんびりと待つだけだ。
だけど、結構退屈になったので、声に出して時間を数えてみた。
「ろくじゅういーち、ろくじゅうにー…」ガタッ、と物音がした。これはもしかして…?私は負けじと大声を出した。
「ななじゅうさーん、ななじゅうしー…」別に怖いわけではない。
「きゅうじゅうはーち、きゅうじゅうきゅー…」大きく息を吸い込んで、
「ひゃく!」ひっ、と大声が、トイレの中から聞こえてきた。誰の声か、思い出せなかった。
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