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唾液で丹念に濡らした指を、ゆっくりとそこに挿入され、中を丹念に弄られる。俺の感じるところを全て知り尽くしているその指は、徹底的にそこをついて攻めあげていった。雄の先端からだらだらと透明な液体が垂れ、俺は身体を震わせ淫らに喘ぎ声を上げていた。
「あっあん……あぁっ、教授……もう……んっ……!」
「さあ、どうして欲しいか言ってごらん」
陰になってよく見えない教授を見上げて、欲望のままに彼の言葉に従おうとした。
でも、その時、浮かんだ顔に、俺ははっとした。
――秀仁。
「……すみません、教授、俺……できない……。なんか変なんです……ごめんなさい、こんな……」
なぜか分からないけれど眼から涙が零れ落ち、俺は手の甲で慌てて拭った。
覆い被さっていた教授は優しく微笑みながら額に口付けると身を離した。
「妬けるな、君をそんな風にしてしまう男がいるとは」
教授はそう呟くと身支度を整え、皮の鞄を手に玄関に向かう。
「君はシャワーを浴びてゆっくりしてから帰りなさい。鍵はテーブルの上だから、帰る時にカウンターに返しておいてくれ」
「……すみません……」
俺の言葉に苦笑しながら、教授は片手を挙げて「では、また」と扉の向こうに姿を消した。
これで、教授との関係も終わりか、とそう思った。悲しくなるかと思ったけれど、そうでもなくて、頭は冷静にただ終わったということを認識するだけだった。
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