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ふいに、女の腹に抱き着きたくなる時がある。あの白くすべすべとした腹に顔を押しつけてみたくなるのだ。無論誰でもいいわけではない。その時自分と一緒にいる女に抱き着きたくなるのだ。
胎児の頃に戻りたいとでも思っているのだろうか、ただ猛烈に縋りつきたいだけなのか、子供の頃のちょうど私の頭が母の腹の前にあった頃のように甘えたいのか。
抱き着いてしまえば腕が余ってしまうほど育ってしまったのに、もうすっかり、自分と比べると細い腹に縋りつきたいのだ。
女の柔らかい肌が呼吸のたびにゆっくりと動く。その緩やかな伸縮を感じる度に私は安らぎを感じるだろう。
心臓からは距離を置き、世界に引きずり出された場所からも離れた、大地のような場所にしばらくの間だけ抱き着いていたいのだ。
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