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僕は性格が悪い。口に出して言うと嘘っぽくなるけど本当だ。ふとした時に気づく。あ、やらかしたなって。
でもいつも性格が悪いわけじゃない。自分より性格が悪いやつがいるといい人になる。なんでそんなこと言うんだとか思ったり、ひいたりする。言いすぎだろって笑いながら止めたりするけど、本気で怒ることはない。
ひどい悪口を言ってるやつのことは気持ち悪いと思うし嫌いになるけど、喧嘩なんてしない。だって怖い。でもあいつは大嫌いだ。
それなのに、あいつがいなくなって友達と話すと僕が一番性格が悪くなる。僕が当然のように思っていたことを友達といる時に言うと、
「それそいつの前で同じこと言えんだろ」
って止めてくるやつがいる。その瞬間、物凄い恥ずかしくなる。その後にやっちゃったって気持ちがすごい来る。うわーどうしよう、どうしようと思いながら、友達と悪口を言ったやつに謝罪の言葉を並べる。申し訳ないな。まじでごめん。まじでごめん。
そうしてしばらく話の流れに参加せず小さくなって、やっぱりまた話に参加する。でもどこかでやらかさないように引いた感じで話すから面白いことなんて何も言えない。まあ自業自得だよ。
六時を過ぎたらみんなが帰りだす。しばらく同じ方向に自転車を走らせながら、ばらばらと別れていく。
そして僕も別れて一人になった時にふと思う。「それそいつの前でも同じこと言えるのかよ」っていい言葉だなって思う。それと同じくらいそれを言った友達はすごいやつだなって思う。
当たり前の考え方かもしれないけど、当たり前のことをやってる奴なんてほとんどいない。それなのにあいつは誰かに言わされるわけじゃなくて自分から言った。敵わないなって思うし、人間性を競う自分は情けないなって思う。
まあ、なにが言いたいかって言うと、僕は性格が悪いってこと。強いやつの前でぺこぺこして同じくらいの奴といると悪口を言ってしまう。自分は人の悪口を言うのに。矛盾だ。ほんとどうしようもないなって思う、自分。
でも今度から「それそいつの前で言えるのかな」って考えながら話すようにしようと思う。あいつはすごいな。
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