一章

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桐一が再び私の唇を塞ぐ。心地良くて首に手を廻すと、ぬるりと舌が口の中に入ってきた。 「ん……」 子どもをあやすような優しい舌使いだと思った。もっとも、口内を擽ぐるという行為にあやすもなにもないけれど。自分も気持ちが良いように舌を絡めていると、乳首の先端をクルクルと弄られる。 「ひぁっ……」 お腹の奥が、疼いた。 「……やめる?」 桐一の心配そうな声、私は慌てて首を横に振る。 「嫌だったんじゃないよ」 「……そう」 ホッと息をついた桐一が固くなった私の乳首を咥えて舌で転がした。 「あっやっ……!」 驚いた私は、水に揚がった魚のように跳ねてしまう。 「確かに、暴れる割には絡みついてくるもんな」 揶揄うような口調で我に返ると、頼りないと思っていた桐一の背中をしっかりと抱き込んでいた。 「……そんなに俺が欲しかった?」 私のショーツの傍の部分に手を掛けた桐一の静かな口調に、真面目な顔で首肯(うなず)く。 「喉から手が出る程だった」 桐一の口から苦笑が漏れた。 「そう、それは厄介な(ごう)を背負ったな……俺もだよ」 もう確認は終わり。桐一が私のショーツを脱がしてベッドの下に投げる。
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