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幼稚園に通っていた頃、将来の夢を尋ねられるたびに「桐一のお嫁さん」と即答していた。皆笑いながら「頑張って」と言っていた。
「近親相姦」という言葉を知った日、ようやく気付く。あれは苦笑だったのだ。皆、子供の戯言だからと高を括って放置していたのだ。誰も教えてくれなかった。「それは法律が、そして世間が許さない」なんて。
ランドセルを背負った私は桐一への想いを胸に秘めていた。一丁前に恥じらいがあり、友達には言ったことがない。
言わなくて良かったと心から思った。
その時の私はあまりにも幼過ぎたのだ。全てを捨てて桐一が好きだと叫ぶ覚悟なんて、持ってはいなかった。
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