一章

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八嶋(やしま)!」 桐一が数メートル先で腕組みをして立っている。眉を皺くちゃにして、口を真一文字にひき結んでいた。 「うわ……軽谷」 八嶋くんは桐一の顔を見てさっきまで赤かった顔を真っ青に変える。 「邪魔だろ、図体でかいお前がそこで突っ立ってたら」 「邪魔って大袈裟な」 「授業始まんだろ、戻るぞ!」 桐一は反論しようとする八嶋くんを一蹴する。八嶋くんはよっぽど桐一が怖かったのか、私に一言も言い残すことなく教室に戻って行った。私はトイレに行こうと思ってたことを思い出したけど、仕方なくそのまま自分の教室に戻る。椅子を引いた時、誰かが「軽谷くんが怒鳴ったの初めて聞いた」とぼやいたのが聞こえた。
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