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序章
自分が異常だということに気付いたのは、小学校四年生の頃だった。
昼ドラを偶然母親と一緒に観てしまった子がそれを帰り道話題にしたのだ。当時の会話は今でも忘れられない。
「気持ち悪いよね、自分のお兄ちゃんに恋してるだなんて」
そこで「そんなことないよ」とすかさず言っていたら、幼い私はどうなっていただろうか。
「ねー! いくらイケメンでもさ、意味わかんない!」
小馬鹿にしながら話している彼女たちを前に、言葉が出なかったのをよく憶えている。
程なくして、テレビのワイドショーか何かで「近親相姦」という言葉を知った。
愛してはいけない人がいるということが理解できなかった。何故、許されないのだろう。 ただ、母親と父親が同じなだけなのに。
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