案件1、24時間以内に惚れてしまうという予言

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「さて、内藤 涼くん。課題を提出してくれたまえ」 旬先生は、薄めな唇を少し上げてみせた。 「えっと…あの」 「どうした? 買ってきたんだろう? 私が欲している飲みものを」 「い、あの、自信がなくて」 「自信がない? それは問題だ。私の下で働く人間が自信のない仕事をするのは、面白くない素人動画を延々と見せられるくらいに耐えられない」 変な例えを言ってから旬先生は背もたれに体を預けため息をついた。 「ですが、旬先生。私は旬先生と会ったばかりです。どんな人かも知らないのに、いきなり旬先生の好みまではわかりませんよ。超能力者じゃないんだし」 「だから、私はキミに対して相当な時間を与えたよな?」 「時間ですか?」 そんなものもらっただろうか? 「さきほど、たっぷりこの部屋を観察する時間をキミに与えたはずだ。まさか、キミは、この部屋に入ってきて扉の前で立たされている間、何も考えず、何も見ないで漠然と時間をやり過ごしていただけなのか?」 確かにさっき、あきるほど扉の前で立たされていた。 そうとも、さっき、私は結構な時間立たされていたのだ。 その間、私は『早く座らせるなりなんなりしてよ。意地悪弁護士』って苦々しく思っていた。 周りを観察するなんてことはサラサラ考えていなかった。 「はあ、すいません。まさか、こんなことになるとは思わなかったので」 「未来に起こることは、誰にも予測出来ないよ。内藤くん」 「確かに……そうですね」 未来のことは、確かに誰にもわからない。
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