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「正解だよ、内藤くん」
旬先生はストローを刺した抹茶ラテを持ち上げて、ストローに口をつけ、ゴクリゴクリと喉を鳴らして飲んだあと、初めて私に笑顔を向けた。
その笑顔が、なんとも言えないほどに……
カッコよくて私は、目を見開いて旬先生を見つめていた。
やだ、さっきより、なんかすごいカッコいいんだけど。
ゴクリと唾を飲み込んでいた。
細くなった瞳、通った鼻筋、綺麗に口角が上がり、ニッて笑うと男っぽくかなり大きく開く口がまた豪快で、きっとこの人は笑う時は笑うって人なんだなという感じがした。
おそらく本来ならば、顔に喜怒哀楽が激しく出るタイプなんだと思えた。
なんだか、私はこの笑顔にロックオンされていた。緊張して委縮し、止まりかけた心臓が大きく爆発的に肥大しドクンドクンと脈を打つ。
どうしたんだろ?
なんだか、急に胸が……。
「どうかしたか、内藤くん」
旬先生の笑顔がしぼみ、私を怪訝そうに見ている。
「いえ、あ、あの、当たってましたか? 抹茶ラテで?」
「ああ、確かにヘビースモーカーの部屋にはタバコのにおいが染み付いてしまう。それに近い感じで、コーヒー好きな人間の部屋、もしくは人物の服、口臭からは、コーヒーのにおいがしたりする。それが私には無かった。そう、観察したんだろう? それも正解だ」
旬先生は、抹茶ラテを持って椅子から立ち上がり私のそばまできた。
私の顔を覗き込むように見ながら、抹茶ラテをすする。
ゴゴッと最後までドリンクを飲んだ音をさせた旬先生は、一度ゆっくり瞬きをして私を見た。
近くで見る旬先生のブラウンの瞳が、あまりにも綺麗で見惚れてしまう。
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