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喉元がセクシーだ。
顎のラインが彫刻みたいに綺麗。
鼻の穴が縦長だ。
棚からタオルを一枚取った旬先生は、まず額を拭きながら棚の前にいた私を見おろした。
それから、数回瞬きして私を見てから旬先生は
「こうしてみると……内藤くんは凄く小さいんだな」と感心したように呟き私の頭に手を置いた。
ポムポムと掌で私の頭をゴムまりに触るみたいにしてくる旬先生。
向かい合って頭をイケメン男性にポムポムされるのは、なんだか気恥ずかしい気分でいっぱいだった。
ポムポムされている時、コンコンと扉がノックされ返事を待たずに扉が勢いよく開いた。
「失礼します。旬先生?…っっと、あららら? お邪魔でしたかしら」
顔を出したのは、この法律事務所で働いている弁護士の音羽先輩だった。
私がこの法律事務所で働けるように口利きしてくれたのが、このスレンダー美人の音羽先輩だ。
音羽先輩に変なことを言われ、ただ焦りまくる私。
「いえいえ、違うんです。たまたまタオルを取れなくてですね」
「……音羽くん、どうした? 何か用か」
タオルでズボンの濡れた部分を拭きながらソファへ戻る旬先生。
「あらっそんなそっけない言い方するってことは、やっぱり邪魔しちゃったの、私」
「音羽先輩いい加減にしてくださいよ。邪魔とかあり得ないですから。ねっ、旬先生」
旬先生は、きっとムカついているに違いない。私なんかとどうにかなってるみたいに言われたら、絶対に嫌なはずだ。
そう思って旬先生を横目で見た。
「まだ、邪魔とかいう段階ではない」
まだ?
それってどういう意味だろ。
訳が分からずに旬先生のシュッとした横顔を見つめた。
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