案件4 雰囲気の良さに騙される

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「前田麗子に明日詳しい話を聞けば君にもわかることだが、あえて君が混乱しないようにあらかじめ教えておこう」 静かにアミューズを完食した旬先生。旬先生の長い指を見ていた私も慌ててアミューズを一つ口に入れ、飲み込まないうちに二つ目を口に入れてしまった。 しまった。勿体無いことをした。 なんか緊張しずぎて、味わうことを忘れてしまった。 「…はぁ」 高級料理を味わえなかったショックから旬先生に生返事をして、今度はしっかり飲み込んでから三つ目のアミューズを口に入れてしっかり味わう。 あっ、なんか舌の上でとろける。 おいしい。なんだか食材はわからなかったけど。なんかすごく美味しかった。 とろけ落ちるほっぺたを掌で、押さえ次の料理が早く来ないかとソワソワして辺りを見回した。 「…前田麗子は、ストーカーでは無い」 料理が運ばれてくるのを待たずに、唐突に確信にみちた言い方で話してくる旬先生に面食らっていた。 「えっ? あの、どうしてわかるんですか?」 「今日、前田麗子に会ってわかった」 「あの、わかったって……ほんの数分会っただけですよね?話もロクにしてませんし」
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