案件5 上司と二人きりでいると変な雰囲気になる

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「なんとなく旬先生のバースデーパーティーッキラキラしてそうなのになぁって、違うんですか」 「キラキラしているものは無かった。誕生日は大抵家族で外食するくらいだった。だから、ドラマや映画で目にする家でやるバースデーパーティーに憧れた。うちには無縁なものだったから」 「……」 なんと言えばいいのだろう。また、ネガティヴな発言をさせてしまった。 もっと言うと、淋しい思い出を思い出させてしまった。 ここからどう挽回しよう。 「それに誕生日は、双子だからいつも潤と一緒に祝われたな」 「あ……」 忘れていた。旬先生は潤先生と双子だった。当たり前だか双子だから誕生日も同じなのだ。だから、一緒に祝われてしまう。嬉しいような悲しいような……。きっと、これは双子にしかわからないあるあるネタなのだろう。 「思えば、いまだかつて誕生日を1人でキラキラな感じで祝われた覚えがない」 「えっ、本当ですか? 1度も?」 「あぁ、1度もない」 「でも、彼女とかにお家で祝われたりしなかったんですか?」 「無い。家の中をキラキラに飾り付けるような女性はいなかった」 「そういう意味ですか…。大人になってから折り紙やキラキラしたモノで飾り付ける女性は、まずいないですよ。いたら、少し能天気な女性ですよ」 慰める意味の言葉を並べた。 これ以上、旬先生がネガティヴにならないように。
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