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「なんとなく旬先生のバースデーパーティーッキラキラしてそうなのになぁって、違うんですか」
「キラキラしているものは無かった。誕生日は大抵家族で外食するくらいだった。だから、ドラマや映画で目にする家でやるバースデーパーティーに憧れた。うちには無縁なものだったから」
「……」
なんと言えばいいのだろう。また、ネガティヴな発言をさせてしまった。
もっと言うと、淋しい思い出を思い出させてしまった。
ここからどう挽回しよう。
「それに誕生日は、双子だからいつも潤と一緒に祝われたな」
「あ……」
忘れていた。旬先生は潤先生と双子だった。当たり前だか双子だから誕生日も同じなのだ。だから、一緒に祝われてしまう。嬉しいような悲しいような……。きっと、これは双子にしかわからないあるあるネタなのだろう。
「思えば、いまだかつて誕生日を1人でキラキラな感じで祝われた覚えがない」
「えっ、本当ですか? 1度も?」
「あぁ、1度もない」
「でも、彼女とかにお家で祝われたりしなかったんですか?」
「無い。家の中をキラキラに飾り付けるような女性はいなかった」
「そういう意味ですか…。大人になってから折り紙やキラキラしたモノで飾り付ける女性は、まずいないですよ。いたら、少し能天気な女性ですよ」
慰める意味の言葉を並べた。
これ以上、旬先生がネガティヴにならないように。
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