案件5 上司と二人きりでいると変な雰囲気になる

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「キラキラしたパーティーを家でやらないのは普通か」 「はい。普通の女性は、しませんよ」 「そうか……キミもか?」 「え、あっ……はい」 完全に嘘だった。 先月もお母さんの誕生日を祝うために兄弟で狭いリビングをこれでもかと飾り付けた。金色や銀色、ほかにも赤や青、黄色や緑の光った折り紙で輪っかを作り数珠状に繋げたり、happybirthdayの文字を切り抜いたりして折り紙や紙テープ、風船を大量に使った。 だが、今この場でそれを旬先生に白状するのは得策とは思えない。 1人で祝われたことのない子供時代が悲しい思い出として残っている旬先生を余計にさみしい気分にさせたら大変だ。 折り紙で飾り付けたパーティーなんて元々ビンボーくさい。そんなのしない方がいい。第1オシャレでは決して無い。 旬先生みたいなイケメン弁護士にそんなしみったれた彼女がいたとは思えない。折り紙で飾り付けを作るような女は、私くらいのものだ。 「そうか? キミならやりそうだが」 それは、私がオシャレと縁遠そうにみえるからだろうか。 思うだけでも失礼な話だ。
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