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「私だってオシャレなパーティーをしますよ。そんな折り紙とか紙テープとか……しみったれた飾り付けなんてしませんよ」
「別にしみったれてるとは思わないが」
「はぃ?」
「私は、そんなパーティーに参加したことがないから一種の憧れさえある。温かみがあってアットホームな気がする」
「そうですか? いつもそうだとアットホームなんだかもわかんないですけどね。それに、笑っちゃうのが、折り紙で作った輪っかの奴なんて取っておいて次の誰かの誕生日に又使い回しするんですよ。やっぱりしみったれてますって」
「なんだか……」
「?」
「内藤くんは、いつもそういったパーティーをしている、もしくは知っているような口ぶりだな」
「あっ! いえ、そのたぶん…そんなのをドラマで見た気がして」
「へぇ」
旬先生がおもむろに私の肩に手を置いた。
「肩に力が入ってる」
「えっ!」
急いで自分の肩の力を抜く。
どうやら私は、困った状況になると肩に力が入ってしまうようだ。
鋭すぎる。
さすが、敏腕弁護士だ。
細かい言動やちょっとした仕草、変化した点も全て見逃さないのだろう。
逆にそれくらいでなければ、高額な相談料を取る弁護士は勤まらないとも思う。
少し歩くとやけにきらびやかに光ったミニチュアの東京タワーのオブジェがあり、やけにハートがキラキラして目立っていた。
やはり、デートスポットだ。
恥ずかしいくらいにハートがキラキラしてる。
私はゴクリと唾を飲み込んだ。
こういうデートスポットに上司と来た私が迂闊だった。気まずいったらありゃしない。
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