案件5 上司と二人きりでいると変な雰囲気になる

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「恋人同士なら、ここでキスでもしたかな?」 私の目を覗くようにして聞いてくる旬先生。 ち、近い。 何故、こんなに寄ってくるわけ。 「し、知りませんよ」 少し旬先生から離れてみた。 すると、わざとなのか知らないが、また一歩近づいてくる旬先生。 「どうして。キミは彼氏と来たらどうしてたと思う?」 「さ、さぁ、キスはしないと思います。人前ですし」 「へぇ、人前とか場所を気にするのか。そういうのを気にするのは、恐ろしくつまらない発想だな」 「えっ、つまらないって…普通な考え方だと思いますが」 「そうかな? 私なら好きな相手と一緒にいたら、恐らく時間や場所は気にしない。いや、気にしたり出来ない」 「そんなの節操ない人間みたいで弁護士の品性にかけますよ。先生、そんな考え方はやめた方がいいですよ」 「パラリーガルのキミに指図されたくない。私は私なりの考え方があるし、もちろんある程度の分別はわきまえている」 いくらかムッとした様子の旬先生がかがんだ姿勢を元に戻した。 「……そうですか。失礼しました」 ムカつく。人のことは、つまらないだのと言っておきながら、自分のことは、とやかく言って欲しくないなんて。自分勝手な男だ。
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