案件5 上司と二人きりでいると変な雰囲気になる

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「だが、これだけ派手でハートが沢山の、いかにもデートスポットの象徴的なオブジェを前にして」 旬先生は、小さなため息まじりに私を見おろした。 その顔がなんとも言えず、物憂げな感じで私は不覚にも再びドキッとしてしまう。 「不思議なんだ」 旬先生の手が伸びてきて、私の頰に触れた。 じっと見つめてくる旬先生に私のハートがピンク色に染まりそうな気分になる。 何? もしかして、旬先生ってばデートスポットにきて気分が上がり、私にも気持ちが向いてきちゃった感じ? うわっ! そんなの…どうしよう。 困るよ。一応彼氏持ちだし。 そりゃあ、若井さんに和也が浮気してるとか吹き込まれてはいても、やはり彼氏だ。だから、いくら旬先生がイケメン弁護士でもダメだ。進んじゃいけないのだ。 困ったような嬉しいような私の頰から手を離した旬先生。 「こんな有名なデートスポットに来ても内藤くんが相手だと、気持ち的に何にも起こらない。泡立たないな気持ちが」 「は?」 「女性とデートスポットに来たら、やはり緊張したりドキドキ感を味わうものだが。それが一切無い」 「それって…また結構私に対して失礼なんですけど」 今度こそは私がムッとする番だ。 「あれ、怒ってる?」 「怒りますよ。つまり、旬先生は私に女性的な魅力を感じないってそういうことですよね」
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