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それから旬先生と何事もなかったように一階下へ下りて、寒いのに何故かアイスの気分になりマンゴーサンデーを注文した。
並んで座り都会の夜景を眺める。
周りは、当然のようにカップルばかりだ。時間帯のせいだろうか。
マンゴーサンデーは、危険な食べ物だった。
ハート型のもなかがソフトクリームに刺さっているの見た時に、今の状況で、もなかがハート型なのが許せなくなって早々に引き抜いて口へ運んだ。
何も、もなかまでハート型にしなくても!
なんか間が悪い。
カップルで来るとは限らないのだから、もなかまでハート型にしなくてもいいと思う。
急いで、もなかを口へ押し込んだ私。喉にもなかが張り付いて、つまりそうになった私に旬先生は呑気な口調で
「これ、飲む?」
と自分が注文したカフェオレを私の方へ押し出してきた。
ペコリと頭を下げて、旬先生のカフェオレで喉を潤した。
「ありがとうございます……あっ!」
手にしていたカップを見て私は声を上げていた。そろそろとカップを置いて、また後悔していた。
「今度は何だ? キミは忙しい女だな」
旬先生は気がついて無いようだ。それなら、特別私が気にする必要は無いだろう。
旬先生がカップを手にした。
「あっ!」
さっき、喉がつまりそうで考えもせずにカップに口をつけてしまった。
きっと、間接キスになってしまったに違いない。今、また私が飲んだ後に旬先生がカップに口を付けようとしている。
「ん? 何だ?」
「えっ、あ、いえ……大丈夫です」
旬先生が気にして無いなら、黙っておくべきだ。間接キスで騒ぐなんてことは、小学生でも無いだろうから。
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