案件5 上司と二人きりでいると変な雰囲気になる

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だから、私は既に動揺していた。 「意味はある。キミが私を意識しているという証拠になる」 旬先生は、スプーンでアイスをすくった。旬先生の口が開いてスプーンが口の中に入っていく。 …ダメだ。 私は、瞼をぎゅっと閉じていた。 とても見ていられる状態じゃない。恥ずかしすぎる。間接キスを今からすると言われて、いざ本当に目にする状況はかなり恥ずかしいものだ。 「内藤くん」 急いで目を開ける。恥ずかしい状況は、とっくに終わったと思ったから。 それなのに、スプーンには、まだアイスが乗っていた。 どうして? まだ食べてないの? と思う暇もなく旬先生が自分の口へスプーンをパクリと入れた。 「ぅ……」 小さく呻くことしか出来なかった。 さっきのキスと同じだ。 突然の出来事を避けられずに私は受け取るしかなかった。 私は、旬先生が返してくれたスプーンを手にして呆然とするしかなかった。 でも、どうしてだろう。旬先生を見ていると、胸がざわざわしてくる。 この人は、身勝手で……。 ここで、さっき言葉に出来なかった危険な言葉を再び思い出していた。 旬先生は、少しだけ微笑んで何事も無かったみたいに夜景を眺め始める。 その横顔は、問題なく彫刻みたいに綺麗だ。 ……この人は、身勝手で変わり者だけど……なんだか、相当カッコ良くて……。 なんか……好きだ。 私は、今朝旬先生に言われた事をまた思い出していた。 『キミなんておそらく24時間と持たないだろうな』
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