案件1、24時間以内に惚れてしまうという予言

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「今のは、簡単な入社試験だ。キミのことは、最初から女性だと知っている。知っててキミを観察していた。突然自分に襲いかかる事件にどう対応するかを見ていたんだ」 呆気に取られていた。 今頃入社試験? 試されていたわけ? なんか複雑な気分なんだけど。 握手しながら、また思った。 やっぱり私、この先生の下で勤まるのかな? 「内藤 涼くん、キミを歓迎する」 旬先生は、デスクに戻ると何やら資料をペラペラとめくり、クールな表情に戻って 「キミに早速仕事だ」と言った。 よくわからないが、雇われたのなら仕事を懸命にやるしかない。 「はい! 何でしょうか」 早速の仕事は、ありがたい。早く先生の考え方や仕事の取り組み方をみて学びたい。 「今から2階のコンビニへ行き、私に飲み物を買ってきてくれ」 ここで初めての仕事がお買い物ということに、多少ガッカリした。ガッカリしたが笑顔を作る。 「……はい、あのお好みは?」 「1.シアトルコーヒー。2.抹茶ラテ。3.フレッシュオレンジジュース」 「え、3つもですか?」 「…の中から私が今欲しているものを買ってきてください」 「欲しているものですか? そんなのわかりません」 なんだこれは、クイズだろうか? そうだとすると、かなり面倒くさい。 「キミの観察眼がどのくらいあるのかを判断するための試験です。さぁ、行ってきて」 「そんな……」 また、試験? 一体何回試験するつもりよ。さっき、もう握手したじゃない。ようやく採用されたんじゃなかったの? 旬先生の専用個室から出たものの、訳がわからずに扉にもたれかかる。 全く、試験って偉そうに何よ。 絶対に変わりものだよ、あの先生。 仕方なく私は、長くてスケートでも出来そうな廊下をトボトボと歩き始めた。
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