【 】甘くない話

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 そもそも「ばれんたいん」の事を言い出したのは、ミナトだった。 「もう二月か……ヒトの街じゃ、バレンタインの時期だなぁ」 「なにそれ」 「大切な相手に贈り物をするんだよ。俺の国じゃ、チョコレートを渡すのが一般的だったな」 「ちょこれーと……」  前に博物館で教えてもらった。茶色くてとっても甘い、ヒトの食べ物なんだって。私も食べてみたいって言ったけど、ダクとソニアは 「『島』にはもう無いよ。材料ならあるかもしれないけど、僕達に料理は出来ないからね」 「それにチョコレートは、一部の生物にとって毒だと聞きます。ヒトは平気だそうですが、無闇に口にするのは危険かと」  って言ってた。  でも、きっとカイなら大丈夫だよね。いつも料理してもらってばかりだから、偶には私が作ってあげようかな。 「決めた‼︎ 私、カイにちょこれーと作る‼︎ 」 「……は? 」  ミナトが絶句したけど、気にならなかった。
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