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僕があの声を初めて聞いたのは、たまたま『島』の近くを通ったときだった。
その頃の僕はまだ幼くて、飛ぶのも上手じゃなかった。うまく風に乗れなかったり、羽の広げ方を間違えたり。だから魚も上手く捕まえられなかった。
そんなんでふらふらしていたから、いつのまにか群れからはぐれちゃった。
どこに行けばいいかわからなかった。だからひたすら飛んだんだ。
どっちが群れの方向かなんて気にしてなかった。とにかく誰かに会いたかった。同じ種類の仲間でもいいし、全く知らない誰かでもいい。海の上でひとりぼっち、誰も居ないことが、とっても怖かった。
だから『島』からあの声が聞こえた時、僕は自然と引き寄せられてしまったんだ。
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