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「島」の生き物たちは種パンが好きだ。朝ごパン、昼ごパン、夜ごパン。三食全て種パン。
柔らかな食感、ほんのりした甘さ。一つ食べれば腹は膨れ、生き物たちの傷も治る。「島」の各地に生えた独特の木に実り、いくら食べても、一日経てばまた生えてくる。正に万能食材。
……なのだが。
「もっもっもっ」
「……」
「どうしたの? 食べないの? 」
俺が「島」に来てから二ヶ月が過ぎた。その間の食事、初日を除いて全て種パン。
「なぁ、毎日こればっかで飽きないか……? 」
「別に? 」ハンドウイルカのノア。
「美味しいですし……」シロカツオドリのアオイ。
確かに海にいた時は、食べ物に「飽きた」なんて考えなかっただろう。食べなければ死ぬ。それが野生というものだから。
「今日の昼飯は料理するぞ。待ってろ」
「りょ、りょうり……? 」
材料があるかが問題だが、まぁどうにかしよう。考えはある。折角だから、他の生き物たちも招待するか。「島」に来てから沢山の生き物に助けられた。今日はお礼のランチパーティーだ。
ノアにはイン、ニィダ、ヘテロ、ツユ、クル。アオイにはリーフ、ヒュウラ、小石平原と熱帯雨林のみんな、ダクとソニアを呼んで来てもらう。
割り当てが不公平な気もするが、アオイは飛べるからな。ノアよりも早く済むだろ。
「行ってきまーす! 」
「お任せくださいっ! 」
元気よく出発した二人。さて、俺は材料を探しに行こう。
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