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砂浜に戻ると、ノアに「あなたは誰? 」と聞かれた。
そうだ、まだ名前を言っていなかった。自分の変化と飛ぶことに夢中になりすぎて、すっかり忘れていた。
僕はクル。セグロカモメだ。
自己紹介も終わったところで、僕は二匹に「あの声」について聞いてみた。
最初はよくわからなかったみたいだけど、夕方に聞こえたことを話すと何か気付いたようだ。
「もしかしたらあれじゃない? 」とノアが言う。カイも心当たりがあるようなので、案内してもらうことにした。
目的の場所は林の中にあるらしい。この体で歩くのは難しかったけど、僕がヨタヨタしているのを見て、ノアが歩き方を教えてくれた。
ノアも変わったばかりの頃は、歩くどころか立つことも出来なかったらしい。でも、カイが丁寧に教えてくれたおかげで自由に動けるようになったそうだ。
私も出来たから、あなたもきっと出来るよ。ノアはそう言ってくれた。
カイはそんな僕たちを、少し離れて見ていた。
少し慣れてきた頃、カイがそろそろ行くぞと言った。
僕たちは一列になって進んだ。先頭はカイ、真ん中に僕、最後にノア。
カイとも何か話せないかなって思ったけど、彼は何も言わずに、ずんずん進んで行くだけだった。
僕もなかなか話す話題が見つからなくて、結局静かな行進になった。
しんがりのノアだけは楽しそうだったけど。
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