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それから僕は、カイから色々なことを聞いた。
ノアと一緒に「しんりょうじょ」という場所に住んでいること、「島」には他にもたくさんの生き物がいること、そしてカイは「島」の外から来たこと。
どれも初めて聞く話ばかりで、僕は目を輝かせながら聞いていた。
お返しに、僕も海や空の話をした。カイはあまり質問はしなかったけど、真剣そうな目で僕の話を聞いてくれた。
思ったよりカイは海について詳しくて、特に美味しい魚の話は盛り上がった。
ただ、流石に上手な飛び方の話はよくわからなかったみたいだ。
太陽が山に隠れ始めた頃、ノアが帰って来た。
僕たちが話しているのを見て「私も入れて! 」と駆け寄ってくる。そして僕の前で「良かったね」と言うと、カイの隣にちょこんと座った。
それから少しして、カイがここだと言った。太陽の位置から考えると、声はもうすぐ聞こえるらしい。僕はドキドキしながら待つ。
あの声は誰なんだろう。ここに来るのかな。そんな風に考えながら辺りを見渡した。
その時、あの声が聞こえた。
振り向いても誰もいない。音は上の方からする。見上げると、そこにはへんてこな木が生えていた。
灰色で、気味が悪いくらい真っ直ぐだ。枝は見えないけれど、代わりに四角いものが上からぶら下がっている。
声はそこから聞こえていた。昨日と変わらない、ざらついているけど綺麗な声だった。
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