闇の少女

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闇の少女

 その日、少女の放った恐ろしく強大な闇が全てを飲み込んだ。 黒魔術を使うその少女一人を殺すために送り込まれた、セレブリティア帝国の精鋭部隊数千人と搭載された最新兵器の幾つかは、わずか数分で壊滅させられたのだ。事態を重く見たセレブリティア帝国は、少女を抹殺できる者を各地から召集し、一億五千万の懸賞金をかけた。 放っておけば、城一つはおろか、国一つを滅亡させてしまう凶悪な魔女になりかねないからだ。  「嘘だろ? そんな」  魔女討伐の依頼を受けて、少女の棲む祠へ行った賞金稼ぎの男は、眼前に広がる地獄絵図のような光景に息を飲む。 音もなく次々と消えていく仲間たち。血で黒ずんだ甲冑。激しく湾曲した刀剣や盾。どんな魔物を操ればこうなるのかわからない帰り血の付き方。一人の少女に出来ることではない。賞金稼ぎは一瞬、自分の常識を疑ったが、ほかに理由が見つからない。 それでも少女は、こう思う「国が自分をいじめた」んだと。
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