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膣襞が収縮し、拒んでいたはずの入口が滉を受け入れ、捕まえた。
「美夕……っ、そんなに締めるな」
凛々しく精悍な顔を僅かに歪めながらも滉はより深部へと突き上げた。
「ひあうっ、やあんっ」
白い頬紅潮させ激しく首を振る美夕の意識が滉に染められていく。
思考が奪われる中で美夕の中に一つの想いが浮き上がってきた。
この人は、兄さんとは違う。
この人の愛はあの人の愛と同じ。
紛れもなく、〝本物〟。
「美夕!」
繋がれたまま、何度も唇を重ねられ、愛撫を受ける。
美夕は、宙に伸ばした両腕を、滉の肩ごしに見た。
何かを掴もうと伸ばす手の向こうに、サンルーフから覗き込むような細い月が見えた。
わたしのこの手は、誰を抱くの。
わたしの愛は、誰のもの。
わたしは、わたしはーー!
『美夕、その家を出なさい』
伸ばした腕が滉の身体を抱こうとした時、一週間前、電話で話した義父の声が蘇った。
美夕の中で何かが弾けた。
「ーーこうくん!」
意を決した美夕の声は、滉を一瞬怯ませた。
抱き締めていた腕が緩んだ隙に美夕は滉の胸に両腕を突き、躰を離した。
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