わたしの愛は

7/8
前へ
/49ページ
次へ
 柔らかく、甘く、優しい。 美夕が滉の中に紡いだ記憶。 「滉君」  美夕のしなやかな両手が滉の顔を包んだ。 「小さかったわたしは、滉君と仲良くなりたかったのだと思う」 「美夕……」  滉の目が、初めて潤んだようだった。 「わたし、やっと分かった」  心を締め付けるセピア色の記憶は、愛の種類が違うことを物語る。 「わたしは、滉君に本当の〝家族〟を求めていた」  本当の兄弟としての情愛を。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

232人が本棚に入れています
本棚に追加