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「ぜっ絶対だな!」 「うん、誓って絶対」 真面目な顔で頷いて見せると、彼はようやく信じたようにほっとした。 …まあ勉強を教えてくれた相手がホモだったとすれば、イヤな気分になったんだろう。 「あっあのさ、今度の土曜か日曜、ヒマじゃないか?」 「…日曜が時間を空けてあるけど」 その日に髪を切りに行こうと思っていたところだった。 「じゃあさ、一緒に出かけないか?」 「へっ? またショッピングモール?」 「いや、今度は麻野がいつも行く所に行ってみたいな」 彼は興味津々といった感じで言うけれど……いつも行く所と言ったら、アキちゃんと行く所? 朝、まずアニメイトに行く。一時間以上は店内にいる。 買い物を済ませたら、隣のビルの無料休憩場に行って、買ってきた品物をじっくりと見て楽しみながら、熱く語り合う。 その頃にはお昼になっているから、いろんなカフェに行く。 ちなみにカフェはその時々の気分で、メイド喫茶に行ったり、妹カフェなんかも行く。 そこでまた一時間ぐらい時間を費やして、腹ごなしも済ませる。 その後、映画館に行ってアニメの映画を見る。 見た後はグッツを買って、ゲーム販売店や本屋を巡る。 そしてカラオケ屋に行き、アニソン、またはゲームソングを2・3時間熱唱。 夕方になり、お腹が減ってくるので、ゲームの世界を模した喫茶店でまったり一時間過ごす。 そうしてようやく家に帰る。 「――無理、絶対に無理」 「えっ? 何が?」 彼はキョトンとしているけれど、とてもじゃないけど彼には耐えられないだろう。 きっと最初のアニメイトに行って、店内で五分もしないうちに帰ると言い出す。 彼の嫌いなオタクの聖地に行けば、彼の精神は間違いなく崩壊する。 「あっあのさ、何で僕なんかと一緒に遊びたいの? この間会った三人とかと遊んだ方が楽しいと思うよ?」 松原くん達は彼らを信奉者と言っていた。 きっと彼を楽しませてくれるだろう。
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