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「…あれ、彼から来てる」
着信の件数が3件あった。
でも部室と図書室に行く時はバイブ設定にしていたので、全然気付かなかったな。
そしてメールも来ている。
ちなみに僕と彼は勉強を教えることが決まったあの日に、電話番号やメアドを交換していた。
けれど今まで一度も連絡をしていなかったので、珍しい。
メールを開けて見ると……。
『どこにいるんだよっ! 明日の勉強会のことで話がある!」
…と怒りの文章があった。
僕はとりあえず電話してみると、1コールで彼は出た。
『遅いっ!』
「ごっゴメン。今日は部活の最後の日だったし、図書室に寄っていたんだ」
素直に遅れた理由を言うと、一瞬の沈黙が流れる。
『――お前、部活に入っていたんだったな…』
…それは生徒指導室で話に出ていたはずだけど…忘れていたんだね。
『それでどこでする?』
ああ、勉強会の場所を話し合いたかったんだっけ。
「図書室は?」
『あそこ、静かすぎてイヤだ』
キッパリ断られた…。
まあ彼の性格を考えれば、図書室は苦手なタイプだな。
「じゃあこの間の生徒指導室は? 担任の先生が必要なら使って良いって言ってくれたし」
普通の教室よりは狭いけれど、誰も近寄って来ないし、多少騒いでも大丈夫だろう。
『…分かった。ならそこで良い。けどな! 行く時は別々だからな! 誰にも見つからないように入って来いよ!』
言いたいことだけ言って、彼は電話を切った。
「…乱暴だなぁ」
でも素直。自分が思っていること、考えていることを真っ直ぐに伝えられる。
僕は逆に何も言えなく、行動もできなくなってしまうから、彼に惹かれたんだろうな…。
「はあ…。明日の準備、しておかなくちゃな」
僕は重いため息を吐く。
彼を見てても良い理由は出来たけど、別の理由で彼に嫌われそうな予感がしていた。
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