勇者 罠に 

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勇者 罠に 

スバルは、おつかいをたのまれた。 「くっそーっ! あの禿オヤジめっ! 自分で行けばいいのに、なんで、俺が行かなくちゃいけないんだよっ!」 冒険者スバル、資金難により、とある工場の手伝いをしている。工場の主人は、働く気があるなら、雇ってやるという男気に溢れ、この辺りでも人望の厚い人間だった。 複数の案件を抱えている主人は、いつもなら自分で行う買い出しをスバルに託した。 これでも、冒険者の端くれ、一般の人間よりは、腕力があると見込んでのことだと、スバルは考えていた。 「でなきゃ、こんなわりに合わない仕事は受けるかってっ!     ってか、いつも、あのオッサン、こんなものを手に入れてるのか?  工場ってのも、大変だなぁ」 スバルが、地図に書かれていた場所に向かうと、深い森へと続く道にたどり着いた。 「ふーん...ここかぁ…。たしかに、魔物が出てきそうな場所だな。  しかも、わずかだが、薬草の匂いがする...」 それまで、自分を使った主人に対しケチをつけていたスバルは、冒険者である自分だから選ばれたと納得した。 「さぁてっと、さくっと取ってきて、さくっと戻ってくるかーっ!」 スバルは、ふかいもりにつづくみちをあるきだした。 「...へぇ...町が近いのに、こんなに深い森って、珍しいなぁ...。  特に、珍しい花があるわけでもなく、薬草はあるが、ここじゃ手に入らない訳でもない...。 でも、こんなに高い木が生えてたら...っうわぁぁぁ...」 スバルは、上を見て歩いていたせいで、足元にあった大きな石の塊に気付かずそのまま、転んでしまったのです。運が悪いことに、道は、そこから急激に下り坂になっていました。 「うわぁ...いてっ! と、とまんねぇ...」 ゴロン、ゴロンと転げ落ちるスバル。彼を止める物は、近くになにもありませんでした。 「...やべ、...マジでやべー...うわぁぁぁ」 転がり落ちるスバルの視界に、光る池のようなものがうつりました。 このままでは、そのまま、ざぶんと入っていきそうです。 まずいっ! と思ったスバルでしたが、ポンっと投げだされるように宙を舞い、池の中央の辺りで落ちてしまったのです。 大変です、スバルは泳ぐことができません。 「だ、誰かっ! た、たすけてくれーっ!」 けれど、あたりには誰もいません。 その時です。 池を包み込むようにあたたかな風が吹きました。 ザー。 しぶきをあげて助けを求めるスバルの耳に、声が聞こえました。 『助けて欲しいのなら、我々の望みを叶えよ。』 スバルは、懸命に答えました。 『叶えるっ! だから、助けてくれーっ!』 すると、なんということでしょう。 池の中からたくさんの裸のイケメンが出てきました。 水を滴らせるイケメンにスバルは言葉を失いました。 『我々の望みをかなえたまえー』 イケメンがクルクルとまわりながら空に浮かび、あたりはまばゆい光に包まれました。 スバルが目を開けると、そこは、大きな寝台がありました。 「あれっ! いつの間に。 あ、服も乾いてるっ! 俺、助かったんだっ!  よかったぁ...」 スバルはホッと胸をなでおろし、近くにあった寝台にゴロンと寝転びました。 「すげー、でっかいな、この寝床。 これって、俺らみたいなのは無理。 王様とかなら、こんなおっきいので寝るのかな? 」 安心しきったスバルは、イケメンに言われたことをすっかり忘れていました。 「ほう、お前が我の願いを叶えると。」 スバルの傍に、いきなり金色に輝く髪の色をしたイケメンが現れました。 「うわっ! び、びっくりしたー。 あ、オニーさん、さっきは助けてくれてありがとう。 俺、助けてもらったからには、何でも叶えるよっ! 俺にできることならなっ!」 トンっとスバルは自分の胸を叩きました。 目の前のイケメンは「ほほう」と頬を緩ませ、喜んでいるようです。 「オニーさんの願いはなーに?」 スバルは、問いました。 「そなたが我の妻になってくれぬか?」 スバルは、キョトンとした顔をした後、ケラケラと笑いながらこたえました。 「キャハハハ、オニーさん、知らないのっ?! 男って、妻にはなれないんだよっ!」 笑うスバルは教えました。 しかし、イケメンは応えました。 「それは人の話。 われは神なり。」 再び、スバルが驚き、笑いました。 「冗談がきついって」 笑うスバルの様子にイケメンが仕方がないと、立ちあがり、大きく3回、手を鳴らしました。 パン...パン...パン... すると、なんということでしょう。 金色の髪のイケメンと同じ顔、だが、髪色が違うイケメンが三人増えたのです。 「そなたは、我々の願いをかなえる者か...うむ、悪くはない。」 「...こんなチンチクリン、私たちを満足させられるでしょうか...」 「...ふふふ、こんな若造、私たちが育てればいいのだ。」 順番に、緑、青、そして黒の髪の色のイケメンは、各々好きなことを言いながら、スバルに手をかけ始めたのです。 「っなに、おいっ!やめろっ!」 抵抗するスバルだが、彼らの一人が身に付けた服を脱ぎはじめ、その様子にまた、驚きを隠せずにいた。 「な、何をいきなりっ! 」 デーンと現れたのは天を向く凶器。 自分についている物とは比べ物にならないほどの凶悪なサイズに、スバルは危機感を持ち始めたのです。 「そなたは、命の代わりに我々の願いを叶えるといった。  我々の願いは、妻。 豊かな大地を潤し、新しい命を宿す。  さぁ...何も、恐れる物はない。...こっちへ来るがよい、勇者、スバル...」 勇者スバル、うっとりとした目で、その言葉を聞いていた。 彼の弱点は、イケメンだったのです。 「...あなた達の子ども...ですか...。 でも、俺は男です...」 スバルはとても悩んでいます。その間も、彼の身に付けている物は剥ぎ取られているのに、彼は気づいていません。 「...ふふふ、スバルは、とても愛らしいのですね。 あなたのその悩みは、私たちには通じないのです。...我々は...あなたを持っていたのです...さぁ、おいでなさい」 ふらり、ふらりとスバルは彼らの元に近寄りました。 「ンンンン...っ!...っプはっ!...しゅごい...きもひぃ...」 神々の前では、勇者は、自分の持っている力をふるうことはできませんでした。 スバルの身体にはいくつもの鬱血や噛み跡がつけられ、乳首は赤く腫れあがっています。泣きながらも、喘ぐスバルの様子を、彼らの一人が眺めながらほほ笑む。 「若いとは実に、いい...」 手を伸ばすスバルに近付き、そっと囁くのだ。 「...我々を楽しませるのだよ、スバル」 「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、酒がうめーっ!」 工場の主人がデーンと酒の入った器を置く。 「それにしても、国も大胆なことを考えられたもんだっ!  いくら、勇者がたくさんいると言っても、そりゃ、端くれなんて何にも役に立たねぇ。 それなのに、「俺は勇者だっ!」って、来られても、極潰ししか思えねぇ...。  プライドの高いやつが俺らの言うことを聞くかと思ったが、最高だなっ!  土地は育つし、勇者も下っ端は処理できるしっ!...うめぇ...酒がすんげーうめぇ...」 スバルは、知らなかった。 『勇者の大量発生は、崩壊を招きます。 みんなで、有能な勇者だけを選びましょう。あなたの判断は、豊かな土地を恵むでしょう』 国が資金節約のために勇者を選別しているということを。 「あぁぁぁ...だめ、...ここも、ここも、このぶっといのでいっぱいにして♡」 孕んだ結果、大地を潤す効果があり、スバルは末永く大地を潤すのだった。 「...勇者、スバル...。 しっかりと、この大地は、我々が守るからな。」 もりへと つづくみちを おとこが みつめ クルリと セヲ ムケタ。
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