金のアレ

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金のアレ

「金のアレなんだ」 「んーアレなんだよ。アレ」 名前は浮かんでくるが実際なにであるか思い出せない。 授業休み時間の教室で僕らは雑談していた。 「なんだろ、ここ数日気になっているけどなんだアレ」 「アレッて、ここか」 「違うだろその部分でなく」 「ちょっとなに変なこと話してんのよ」 「ん、金のアレ」 「なんで体のこと言うの」 「女子にしてはストレートだな」 「んもう。けどテレビからネットまでアレでしょ」 アレ、アレなのだ。 「金のアレ何か検証してみたもとか」 「金のアレ歌ってみた」 そうワシャワシャしているんだよ。アレのことで。 「それにしても気になったのはここ数日だよな」 「そうだけど」 「金のアレで検索しても検索結果がでてこないし」 数学の授業開始のチャイムが鳴った。 「ほら席につけ」 「先生、金のアレって何ですか」 「・・・唐突に。気にはなっているけど、数式にはできんだろうな」 家に帰ってテレビをつけるとニュースでも金のアレのことを取り上げていた。 未だ解明されない人類の共通認識が突如ととして現れたとか。 まだその実態見たもの証明したものはいないとのこと。 とそのときであった。 都会の夜空にもはっきりとわかる金色に輝くアレが複数現れた。 「金のアレってこのこと・・・」 防災無線がなる。 屋内の危険でないところにと避難。外出禁止と。 「なんなのよ」 母さんが言った。 「お前ら早くこっちの」 父さんが言った。 妹が居間のテレビをつけた。L字の画面緊急放送の画面になっている。 「なにこれ」 妹が画面を指差してつぶやく。 各国の空に金色に輝くソレが現れた。 『ただいま、金色の浮遊物体について各国研究機関は解明を急いでいます』 金のアレが上空の金のソレなのか。 次の瞬間だった。 「え」 「あ」 「ん」 「あああああっ」 金のソレはひときわ輝いた後突如として消えてしまった。 そして空間が重く震えた。 たなのガラスも震えた。 「なななんだ」 「つかまれなにか」 「なによ」 「ひぇぇぇ」 止まった。空間の震えが止まった。 空白の時間が数分続いた。 なくなった何か。 「ん アレ ナニしている」 普通の夜の居間。 何かがあった。テレビの画面もなにかバサバサしている。 ナニかが飛んだ。記憶、時間、空間。 「しばらくお待ちください」 そう言ってキレイな風景と音楽の画面になってしまった。 「なにか、あったたよな」 「あった、あれよ」 父さんと母さんがつぶやいている。 「ねえチャンネル変えていい 妹が言った。 「いいけど」 チャンネル変えてもにたようなものであった。時々外国のがぞうが、はさみこまれるが、なにがいままでそこにあったかはわわからず。 いままでその瞬間を捉えていたビデオもあったはずなのだが、見当たらない。 アレ ん ナニ それ どれ わからないまま、わかないまま時は過ぎていった。
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