なにが心残りだったんだ、蚊……

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なにが心残りだったんだ、蚊……

 さっき、朝ごはんを食べている最中に、プウゥ~ンという音がした。片手にカップ、もう片方の手にパンを持ったまま目を向ければ、蚊だ。なかば無意識にパンを置いた私は、ふいに、今ならイケる!と確信した。空いた片手で私は空を掴んだ。  ───音が、止んだ。「え、まじで?!」手のひらを広げてみれば、そこには蚊。朝っぱらから、蚊の掴みどりを決めてしまった。  ただ、蚊は鮮血にまみれていた。 「腹満たしたんなら、なんでさっさと逃げなかったんだよ、バカ」  どんくさい奴だ。私の周りには、ふだんからどんくさい奴が多い。そのどんくささに、いつも癒されている。  なんだか仲間の1人から、手違いでしあわせを奪ってしまったような、罪悪感が残った。幸先のわるいスタートだ。今日が休日でよかった。
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