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下の階の扉か、最終出入り口が開いた音だろう。
ビルの関係者か見回りの守衛か? やべえな。
鼓動が高鳴る。
ちょうど目の前に、ビル内テナントに続くドアがある。しかも、どういうことだろう、ドアは少し開いていた。カギはかかっていないようだ。
中に入って隠れるか。しかし、企業のオフィスだとしたらまずいよな。
迷っているうちにも、足音は近づいてくる。
導かれるように、目の前の扉を開けた。
リスクも承知でそうしたのは、足音の主が、ビルの関係者や見回りの守衛ではないことを、本能的に察していたからかもしれない。
そこはオフィスの一室だった。
電気はついていないが、窓からの光のおかげで、机や椅子、パソコンや電話といった電子機器が確認できる。
床はマットが敷かれておらず、フローリング素材。
普段は企業のオフィスなのだろう。人がいなくてよかった。
足音の主がここに来ないとも限らない。身を隠せる場所がないか確認すると、さらに奥の部屋に通じる扉が見えた。
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