── を 信じてはいけない

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 内ポケットからスマホを取り出し、電話ボックスから出た。途端、がくん。と膝から崩れた。 「……お?」  自然と視線は足元を見る。地面に、血だまりができていた。  反射的に腰や足に手を当てる。背中に手を回した時、それに気づいた。ナイフが突き立てられていた。 「……こりゃいつの間に」  脳裏に、ある一場面がフラッシュバックする。 『なんだい? ここは使用中だよ……おっと失礼』  通話中、電話ボックスに割り込もうとした奴がいた。  何事かと追い払ったが、待っている様子もなく、気にも留めなかったが──その時、ナイフで刺されていたのだ。  痛みを感じない故に、痛みに気づけなかった。 (おいおい、なんてことだよ。横っ腹を殴りつけられた(、、、、、、、)のは、ぼくだったってわけかい?)  鳴り続けるスマホの着信音が、遠ざかる意識にかき消されていく。 (ぼくも、駒の一つに過ぎなかった? それとも──こうなることさえも、キミは計算ずくだったのか、ねぇ?)  真取が倒れる直前、たまたま触れたスマホの着信が『応答』になり、通話が繋がっていた。 「やっと繋がりましたか。大輔さん、和達です。緊急事態です──大輔さん?」 「……」  傍らに立つ者は、スマホを一瞥すると、それを踏みつけて破壊した。  真取の手に握られていたメモには『若葉総合病院』とある。それを奪い取るように掴み、踵を返した。      ◇
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