── を 信じてはいけない

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 俺も有里茜にマジで殺されそうになったし、今もやり切れない気持ちでいっぱいだ。 「──考えてあがいて、ビビってゲロ吐きそうになりながら、先の見えねぇ理不尽に立ち向かってきたんだ。リアルな怒りとダチ殺された悲しみ、信じたくねえ現実と向かい合ってきた」  押さえつけていた感情があふれ出す。  ただ、言わずにはいられなかっただけだ。 「恭介は……あたしを、殺さないの?」 「まだ死にてえのか?」  美紀はうつむいたまま涙を流し「やだ……まだ、死に、たく……ない」と絞り出すように、嗚咽を漏らした。  妙なもので、初めて彼女の人間らしさを見た気がした。 「先輩は、"あの人"が誰か、分かったんスね」 「見当はついていたがな。お前らと話して確信を持てた。石井には電話で言ってたろ。『確かめたいことがある』んだって」 「そういうことだったんスね」  石井は驚き目を丸くする。言葉の真意を理解したようだ。 「ただ、これだけはわかんねえ。お前らが"あの人"にそこまで心酔し、手を染めた理由だ」 「あたしが話すわ。恭介の言う通りよ。バスタブで死んだフリを指示したのと裕二を殺せと指示したのは同じ人」  美紀はぽつり、ぽつりと、昨日の──裕二のアパートに【NG】として居た経緯を、語り始めてくれた。
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