── を 信じてはいけない

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「違います。信じてはいただけないでしょうが」  バックミラーを確認しつつ、和達の運転する車が右に左に蛇行し、先行する車を追い抜いていく。 「乱暴な運転だなっ」  たまらずアシストグリップを掴む。 「有里が追ってきます。彼女は飛び道具を持っていましたので、直線上に並ぶのは危険かと。しばし御辛抱下さい」  和達がアクセルを踏み込み車は加速する。ぐんっ。と引っ張られる感覚に、本能が身を縮こまらせた。  流れていく風景、際どいラインですり抜けていく車、信号機が変わる直前で、交差点に突っ込んでいく。  少し前までなら、「降ろしてくれ!」と叫んでいただろう。  だが今は、そんな状況でありながらも冷静に、事態を振り返っていた。  急激に蛇行する運転で揺られ、ポケットから美紀のスマホが転がり落ちた。 (そういや結局、返しそこねちまったな)  そんなことを考えつつ──【NG】からのメッセージを思い出していた。    LINEで最初のメッセージが『その電話に、出てはいけない』だったか。  石井に送ってもらう途中でも、メッセージが来た。あれは確か──『誰も信じてはいけない』だった。  今にして思えばそれは、的を得たメッセージだったといえる。  結果的に、加藤も石井も美紀も有里も、ミステリーサークルのメンバーは、ほぼ黒だった。
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