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撃たれる直前、メッセージも伝えられた。
悔いはない──
「……ん?」
目が覚めた時、現状が理解できずにいた。
「よーお? 目ぇ覚めたかい?」
そこは長野雅人の運転する車の中。
「……あれ? 僕は確か、撃たれて」
「その血はなー。ペイント弾だ。銃を預かっていた時、弾をすり替えておいたんだー。わるかったなー。お前さんが信用できるか、試したんだよ」
「あなたは一体?」
「こういうモンだ」
見せられたのは、警察手帳。
「本物ですか?」
「オレが偽物だったら、キミを助ける理由はねー。駒を増やしてとか、オレの下につきなよってのは嘘だ。あとこの喋り方、クセなんだ、気にすんなー」
「あ、はい」
個性的な人だな、と思いつつも、命が助かったことに安堵した。
「キミさー、死が全く怖くないという精神疾患の一種だっけ?」
「知ってるんですか?」
「カルテを見るくらいはな。大したことねー。つーかそれ、嘘だろー?」
「え?」
「わかってんよ。大したやつだねー。親友を助けるために患者のフリ? 本当に殺されるハズだったのに、あの落ち着きよう」
「覚悟はしてましたから」
「ははっ、やっぱお前さん、賢そうに見えて馬鹿なんだな。でもオレはさー、そういう馬鹿は嫌いじゃねーよ」
「あなたも、全然警察らしくないですね」
「オレ、潜入捜査官ってヤツなんだ。おっと一般の人には言っちゃいけねえんだ。内緒なー」
◇
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